作品について
「笑顔を作るビースト」は、工場で働くビーストが、自分の仕事を「人の笑顔を作る仕事」だと信じながら日々を過ごす短編作品です。
兵器製造ラインで働くビーストが、自分の仕事と「人の笑顔」の意味に向き合う短編。
「笑顔を作るビースト」は、工場で働くビーストが、自分の仕事を「人の笑顔を作る仕事」だと信じながら日々を過ごす短編作品です。

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笑顔を作るビースト 僕は流れてくるパーツを加工し続ける。 今日の担当は切断工程だ。肝が冷える。 先日も腕が飛んだ子がいた。 監督役からは、「お前がとろいのが悪い。他の奴は無事だろう」とのご指導だ。 怪我なんてしたら、大金が消えてしまう。集中しなきゃ。 「ガシャン」 僕はこの仕事が好きなんだ。 僕の作った道具が人間の方々の元へ届き、喜んでもらえるから。 僕は人の役に立っている。 僕は笑顔を作っている。 ……何の道具なのかは、よく知らないけど、きっと良いものだ。 そう考えれば、胸の奥がじんわり温かくなり、頑張れる。
笑顔を作るビースト 今日はいつもより、マシンの音が響く。気がする。 お前も元気そうだな。 この場所に監督役はあまり来ない。 計測機に作業遅れが出ない限り、危険な作業場までわざわざ足を運ばない。 だから、どこを向いても仲間のビーストが相棒のマシン。 怒鳴る声も、嫌味もない。 ここは暖かい。僕の居場所だ。 「ガガガシャン」 異音に首を傾げた瞬間、爆音とともに視界も意識も消えた。
笑顔を作るビースト 気づくと、白い部屋にいる。 しばらくして、ここが「病院」という施設だと思い至る。 まずい。いくらお金が消えるだろう。 僕は元気です。まだ働けます。ここから出なくては。 片腕がなかった。でも足は無事だ。胸が熱い。早く工場へ。僕の場所へ。 廊下の先から、監督役の話声が聞こえた。 「まだ使えるビーストはいるか?」 「ビースト兵の武器製造ラインは評価がいいんだ、止めるわけにはいかない」 僕の作っていたものは人の笑顔ではなく、同胞の悲鳴だった。 気づかれないよう、そっと部屋に戻る。 もう何も作らなくていいんだ。

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