作品について
「子守りビースト」は、知育教材として十年間、ひとりの少年を見守ってきたビーストと、その寿命を迎える最後の時間を描いた短編作品です。
十年の寿命を迎える知育教材のビーストと、成長した「坊ちゃま」の別れを描いた短編。
「子守りビースト」は、知育教材として十年間、ひとりの少年を見守ってきたビーストと、その寿命を迎える最後の時間を描いた短編作品です。

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子守りビースト 「坊ちゃま、そんなに泣かないでください。最後は笑顔でお別れが良いです」 少年は泣きじゃくる。 必死に涙をこらえ、ぎこちない笑顔を作った。 「――うそです」 本当は、泣いてくれてとても嬉しい。 知育教材としての十年の寿命が、終わろうとしていた。 幼い頃は、「甲斐甲斐しい姉」のように世話をした。 少し育てば、同じ目線で遊び、学ぶ友になった。 そして今は、見上げて「爺」を教える。 これで役目は全うできた。
子守りビースト 泣き笑いの、崩れた顔、握り返してくれる手の温かさ。 次の子が来たら、すぐ忘れちゃうかな。 何年かは、覚えていてくれるかも。 もし心の片隅に、ずっといられたら。 でも、こんなにもあなたは辛そうで、それだけは長く続かないでほしい。 わからなくなっちゃった。 嬉しいのか、嫌なのか。 薄れていく意識のなか、最後にあなたに抱かれて終われる。 私は、幸せでした。

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